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前田健太投手・期待に応えられなかった天下分け目の決戦

 



 球団史上最多3万2500人が集まったファン感謝デー。前田健太は大観衆を前に「悔しいシーズンだった」と振り返った。2年連続のAクラス入りを果たしたものの、節目で勝てなかった自身の投球を悔いていた。押しも押されもしないエースだ。責任を背負っていた。

 史上初の本拠地CS開催が目前にあった。シーズン最終戦の10月6日の巨人戦(マツダ広島)。勝つか引き分ければ19年ぶりの2位、負ければ2年連続の3位という大一番だった。地の利が大きい本拠地でのCSへ向け、前田は中8日のマウンドへ。調整は簡単ではなかった。

 結果は8回10安打3失点。苦しんだ今季を象徴するような形で、自身9敗目を喫した。1点リードの6回二死三塁。投球動作に入ってから動きを止めた。まさかのボーク。これで同点に追いつかれた。そこから流れが変わった。8回には二死一、二塁から、アンダーソンに右中間を破られて失点。チームにも反撃の元気はない。試合を終えたエースの目は真っ赤だった。

「すごく責任を感じたというか、一番悔しかった試合」。CSでも勢いを取り戻すことはできなかった。志願して中4日で初戦登板も、6回1失点で敗れた。チームも1敗1分けでファーストステージ敗退。

「帰ってきたい」と決意していた日本シリーズ進出も夢と消えた。「気持ちを切り替えるのに時間はかかりました。その悔しさを持ちながら練習して、自分を高めていきたい」。シーズンが終わり、日米野球に備えて日南秋季キャンプにも参加。その日米野球では日本のエースとして開幕戦に先発し5回無失点で勝った。悔しさを忘れることはない。そうして前田健太は強さを手に入れてきたのだから。
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