文句なしのMVPは球界のエース・金子千尋。今季は16勝5敗、防御率1.98と圧倒的な数字を残し、チームを6年ぶりのAクラス(2位)に導いた。11月26日に都内で行われたNPBアワードでは「このような賞をいただけて光栄です。チームはあと1歩でリーグ優勝できず、CSも敗退してとても悔しいシーズンになりました。優勝してMVPを受賞できるように、来シーズン最高の形で迎えられるように準備していきたい」と、パ・リーグMVPにも選ばれた。さらに、最優秀防御率と最多勝に沢村賞、ベストナイン、ゴールデングラブ賞と、今季6冠。球界No.1投手にふさわしい称号を手にした。

　オリックスのMVP受賞は1996年のイチロー以来。パ・リーグで優勝チーム以外から選出されたのは2008年の楽天・岩隈久志以来となる。しかし、チームが2位でのMVPに「優勝してこの賞を受賞したかった」と何度も口にした。チームの勝利を最優先する右腕だからこその発言だった。

　今オフは一番の注目を浴びている。「すべての可能性を考えたい」と、国内FA宣言を行った。ポスティングでのメジャー挑戦も考えたが一時封印。国内他球団との交渉も行う予定で悩めるオフを過ごしている。右ヒジ手術を行うことも発表されたが、11年に同箇所の手術を経験しているだけに「心配はしてないのが本音。来年もっと良い状態で投げられる可能性があるし、見せられると思う」と自信をのぞかせる。その後手術は成功し、早速リハビリを始めるなど、来季の開幕戦に向け照準を合わせている。来たるべき15年、金子はまだ手にしたことのない「優勝」の二文字を奪いに行く。