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菊池涼介内野手・攻守に欠かせないチームの顔に

 



 ダイヤモンドをところ狭しと駆け回った。菊池涼介なくして、広島の快進撃はなかった。契約更改後には鈴木球団本部長が「評価はチームで一番を争う。何も言うことはない」と絶賛したほどだ。3年目にして自身初の全試合に出場。打率.325、188安打はともにリーグ2位の成績だった。盗塁もチーム2位の23盗塁。本塁打も11本放った。「気持ちの部分で、当たれば飛んでいくんだ、くらいで思っていた」と、精神面に生まれた余裕が向上につながった。

 9月9日の中日戦(マツダ広島)ではプロ入り初となるサヨナラ打。勝負強さが光り、チームの中心として打線を引っ張った。同学年のチームメート・丸をして「トリプルスリーはキクの方が近いんじゃないですか」と口にさせるほどだ。「赤い忍者」の異名を取るように、守備では驚異的なプレーを連発。広い守備範囲、抜群のハンドリングもさることながら、“読み”でもチームを何度も救った。投手陣も「心強い」と口をそろえ、絶大な信頼を寄せている。

 9月30日のヤクルト戦(同)ではシーズン529補殺を達成。自身が昨季打ち立てた二塁手の補殺記録を塗り替えた。それでもまだ伸びしろを感じている。「読みが違ったときもあった。(伸ばしたい記録は)補殺です」。ランキング3位の独占を志している。11月に選出された日米野球でも鮮やかな守備を披露し、その姿は全米にも紹介された。

 それでもチームは2年連続でCS敗退。屈辱のシーンを振り返り「本当に悔しかったです」と唇をかんだ。最もつかみたい栄光は優勝だ。来季も赤い忍者が駆け回り、チームを24年ぶりの優勝へと導く。期待される選手から、計算される選手へと変わった。
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