シーズンを終えたある日、
石川雄洋は寂しそうにつぶやいた。「責任は感じますよ。僕がキャプテンになってから結局、1度もCSに行けなかったですからね……」。
DeNAの初代主将。一切の言い訳をせず、2012年から6位、5位、5位と沈み続ける事実を受け止めた。
過去2年間と異なり、今季の戦いには確かな手応えがあった。「去年はCS争いに絡めた。いい戦いをしても勝てなかったけど、経験が一番。生かすも殺すも今年だと思っていました」。2月の宜野湾キャンプから連係を深め、チームとしても成長を実感。「簡単に優勝できるほど野球は甘くない」と自戒しながら「勝負できるし、しなきゃいけない」と声を張った。
ところが、3月28日の開幕戦(神宮)で
ヤクルトに大敗。絵に描いたようなスタートダッシュ失敗だった。「あまり思い出したくない。本当に最下位という雰囲気だったし、この空気が怖くもなった」。3、4月は7勝18敗。当時に触れると、
中畑清監督は今でも苦り切った表情を浮かべる。
5月を13勝12敗で勝ち越し、8月まで4カ月連続で月間勝率5割をクリア。しかし「開幕で勢いに乗れなかったのは大きかった」とAクラスには届かなかった。勝負所と位置づけた9月上旬、石川自身も10試合、28打席連続無安打という大スランプを経験。グリエルの加入により二塁から中堅にコンバートされるなど、難しい起用も重なり「打ち方が分からない時期もあった」と悩みは深かった。
来季から「主将」の肩書きが外れるが、発展途上のナインを束ねた功績は大きい。「とにかくシーズンを通して活躍したい」。生え抜きの10年目。悲願達成へ、2015年は背番号7に期待していい。