正捕手候補の
吉田裕太にとって、2年目の15年が勝負の1年になりそうだ。14年限りで絶対的正捕手として君臨していた里崎が引退。チームにとっては痛手だが、若手捕手たちにとっては千載一遇のチャンスが巡ってきた。
プロの厳しさを身をもって知ったルーキーイヤーだった。恵まれた体格と強肩。怖いもの知らずの大胆なリードが評価されて開幕一軍の座をつかみ取った。
ソフトバンクとの開幕カード2戦目(ヤフオクドーム)でスタメンに抜てきされ、順風満帆のスタートを切ったかのように見えた。ところが、だ。
「そんなには甘くなかった。こんなに悩むとは思ってもいなかった」。徐々に結果が伴わなくなると、伊東監督をはじめとする首脳陣だけでなく、先輩投手たちからも厳しい言葉が飛んできた。
「完全に精神的にやられました。夜も眠れなくなったし、マイナスのことばかりを考えるようになった」
追い打ちをかけるように、ケガのアクシデントにも襲われた。7月9日の
西武戦(西武ドーム)。本塁クロスプレーで右前距腓じん帯損傷の大ケガを負って二軍に降格した。だが、これが良い意味での転機になった。「それまでは二軍に行きたくないとばっかり考えていた。でもファームでケガを治しながらしっかりと課題に向き合うことができた」。そして、10月1日のシーズン最終戦の西武戦(QVCマリン)で同期入団で新人王に輝いた石川を完封勝利に導く好リードを見せた。
「後半戦はずっと田村が試合に出ていた。でも、正捕手を獲るのは僕なので。来季を見ていてほしい」。大きなカベを乗り越えた吉田の表情は決意に満ちていた。