頂を視界にとらえながら手が届かなかった。
則本昂大は新人から2年連続2ケタとなる14勝をマークしたが、16勝を挙げた
オリックス・金子の前に屈し、球団として
田中将大(
ヤンキース)、
岩隈久志(マリナーズ)に続く3人目の最多勝獲得は持ち越しとなった。「今年は何か1つタイトルを取れるように」。その思いを胸に、3年目にさらなる進化を遂げようとしている。
足りないものは安定感だ。昨季は夏場に1カ月半も白星から遠ざかったことが最後に大きく響いた。好不調の波が大きかったことがタイトルを逃した最大の要因。「2年連続200イニングを目指して、防御率は2点台前半、1点台もいければ」。シーズン7完封も防御率3.02はリーグ4位。リーグトップ1.98の金子に大きく差を付けられた。いかに状態が悪いときに抑えられるかを課題に、オフはスタミナ強化に励んでいる。
最多勝こそ逃したが、リーグで唯一200を超えての最多奪三振を受賞した。初タイトルは手にした。だからこそ、さらなる高みを目指す。視線を向ける先には、No.1投手の称号「沢村賞」がある。「先発をやっている以上、取ってみたい。そこを目指して一歩一歩やっていきたい」。手の届く距離にまで来ている。
星野前監督(現シニアアドバイザー)からは「3年やってこそエース」と言われ続けてきた。今季が、その3年目。新人から3年連続開幕投手もほぼ確実だが、慢心はない。「監督が代わって新体制になって横一線。全員が競争相手。甘い考え方はダメ。一競争者としてアピールしていく」。常に挑戦者の気持ちを持って、最高の栄誉を手に入れる。