陸上ハンマー投げの鉄人・室伏広治と同じトレーニングを行ったかと思えば、ボクシング元世界2階級王者の井岡一翔にも入門した。大島洋平が、200安打超えでの最多安打にロックオンだ。

　1月上旬、大島は大阪府吹田市にある日本生命グラウンドにいた。3年間続いた荒木の熊本自主トレを卒業し、独り立ち。自費で同行させた駒大野球部の同級生・土田和楙（かずしげ）トレーナーの指導を受けた。

　野球の練習はキャッチボールと内野ノックぐらい。外野ノックもマシン打撃もなし。「関節の動きや筋肉の働きを勉強しました。充実していました」

　取り組んだのは、体が本来、持っている能力を引き出すファンクショナルトレーニング。土田トレーナーは「筋力のない赤ちゃんが、なぜ寝返りを打てるのか。その動きをヒントにしたトレーニング法です」と説明した。不安定な半球の上でスクワットしたり、鉄棒から垂らした2本の糸をつかんで腕立て伏せの動きを繰り返した。

　室伏は、このトレーニングを取り入れて成功した。04年のアテネ五輪で金メダルを手にしてから、一時低迷。筋肉量アップを重視したトレーニングをやめ、ファンクショナルトレーニングを導入した。11年の世界陸上（韓国・大邱）で世界トップに返り咲くと、翌年のロンドン五輪では銅メダルに輝いた。

　大阪市内にある井岡ジムで一日入門もした。生死を懸けるボクサーと汗を流し、精神強化に努めた。

　昨季にマークした、02年の福留（現阪神）に並ぶ球団最多タイ記録の186安打に満足していない。2年連続Bクラスに沈んだチームをバットで鼓舞する。