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岸孝之投手・開幕を勝ち取って真のエースへ

 



 今季も岸孝之が開幕投手の最有力候補だ。一昨年、昨年と2年連続で開幕投手を務めたが、いずれも黒星。人一倍負けず嫌いかつ責任感強い男である。「今度こそ勝ちたい」の思いは相当強い。

 だが、キャンプ初日の2月1日。練習開始わずか10分後、開幕投手最有力候補が、ストレッチ中に背中に痛みを感じ、早々に練習を回避した。「大事の大事の大事をとった」と田邊監督も平静を装ったが、リベンジを誓う指揮官にとっては、エース離脱という最も避けたい状況に肝を冷やしただろう。

 幸い、翌日から7日まで別メニューで回復に努め、8日からキャッチボールを再開。11日には全体練習に合流し、強めの球でのキャッチボールも行っている。若干の出遅れとはなったが、いよいよ開幕へ向けて本格キャンプに入った。

 昨年は年明けのトークショーで当時の伊原監督が早々と開幕先発メンバーを明言。自主トレ前から大役を通達された状態だった。キャンプ、オープン戦と段階を経た中で味わえる「開幕投手を勝ち取った!」という自信と喜びがもたらすモチベーションよりも、『開幕投手』という、良くも悪くも選ばれた者だけが味わう独特の重圧を正月早々から背負うこととなり、精神的な負担も大きかった。

 だが、今季は「当確」とされながらも、決定ではない。今回の負傷を含め、万全の状態で挑めなければ即剥奪という危機感も意識しながらの開幕投手争奪戦の渦中にいる。キャンプ直前にファンを前に行われた出陣式では、「最多勝」のタイトルを宣言した。名実ともにチーム、そして球界を代表する投手となるためにも、開幕投手としてチームに勝利に導くことが、エースに課せられた使命だ。
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