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斐紹捕手・正捕手離脱でめぐってきたチャンス

 



 高卒5年目の若き捕手が、ハイレベルな正捕手争いに殴り込みをかける。オープン戦開幕となった2月21日のオリックス戦(生目の杜)。スタメンマスクをかぶった斐紹(あやつぐ)が、盗塁を2度阻止する活躍を見せ好アピールに成功した。初回に中前打で出塁した先頭の駿太が続く安達の2球目に二盗を狙うと、冷静な送球でこれを阻止。6回にも安達の二盗を刺した。「冷静に刺すことができた。守備でいいところを出せて良かった」。リード面でも若手投手陣の0封リレーを演出し、開幕一軍だけでなく一気の正捕手取りに向けてスタートダッシュを決めた。

 オープン戦初采配となった試合後、工藤監督も開口一番で「今日は捕手が頑張ってくれた。相手が仕掛けてくる中で、止められたのが大きい」と賛辞を送った。昨年まで二軍で斐紹を指導してきた的山バッテリーコーチも「やってきたことがいい方向に出て良かった」。将来の正捕手候補としてドラフト1位で入団したが、昨季までは目立った結果を残すことはできなかった。巨人・阿部を目標とし、「打てる捕手」として打撃には定評があるだけに、課題だった守備面で成長を見せていることは正捕手へ近づいていることを示す。

 工藤監督は今季の連覇だけでなく、常勝軍団構築へ向けて「若手の底上げ」を大きなテーマに掲げている。骨折の影響で正捕手の細川が開幕絶望となっただけに、鶴岡や高谷ら実績と経験ではかなわないライバルはいるものの、斐紹が開幕マスクをかぶる可能性も低くない。「今年ダメなら終わりくらいの気持ちでやっている」。昨季まで山下だった登録名を斐紹に変更し心機一転の22歳が、扇の要を奪いにいく。
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