居場所を見つけようと、新たなポジションに挑んでいる。
田中浩康は今季から本職のセカンドではなく、ファースト、そして学生時代にも経験がなかった外野にも挑戦。32歳になってコンバートを決意した男は「今はいろんなポジションにトライしようという気持ちになっている。試合に出ないと始まらない。チームにしっかり貢献したい」とまるで若手のように、目をぎらつかせている。
12年にはセカンドでゴールデングラブ賞を獲得するなど、リーグ屈指の内野手だった。だが昨年、同じポジションで10歳下の山田が台頭。リーグ最多の193安打を放った22歳の陰に隠れ、田中浩自身は77試合の出場に終わった。
そこで昨季終了後、真中新監督と話し合い、本職以外にも挑戦することを決意。自主トレ期間中には、アメフトのボールを遠くに投げてもらい、レシーバーのように走りながら捕球するメニューを取り入れた。「ステップワークが良くなるし、ボールを追う本能が鍛えられる」と常に外野のことを念頭に置いて体を作ってきた。
その成果もあり、沖縄・浦添の春季キャンプでは、外野ノックでほかのライバルとそん色ない動きを披露。福地外野守備走塁コーチは「絶対に試合に出てやるぞという情熱が伝わってきた。もともと球際に強い選手だし、外野でも生きてくる」と適性に太鼓判を押す。
2月28日の
巨人とのオープン戦(東京ドーム)で「五番・左翼」で先発。2打数1安打と結果を残した。左アキレス腱を手術した
バレンティン、右肩を手術した
ミレッジとライバルが出遅れており、開幕スタメンの可能性は十分ある。「試合に出ることしか考えていない」。今季の背番号7から目が離せない。