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新井貴浩内野手・近年にない充実見せるかつての四番

 



 通算300号本塁打まであと20本。それでも新井貴浩は個人記録には一貫して興味を示さない。すべてはチームへの恩返しだけだ。出番が少なくなっていた昨季、「もう1度勝負がしたい」との感情が抑え切れなくなった。阪神に自由契約を申し入れ、退団。古巣・広島に8年ぶりに戻ってきた。年俸は推定10分の1となる2000万円。記録達成より、チームへの思いが強まるのは必然だった。残り146本に迫る通算2000本安打にも興味を示さない。

「そのために野球をやっているわけではない。それは個人の記録であって。とにかく泥にまみれてチームが勝つためにやる」

 本人こそこだわりは見せないが、残り20本に迫った300号には期待が膨らむ。キャンプインから若手と同じメニューをこなし、早出練習はもちろん、「過去にやった記憶はない」と振り返る70分間に及ぶ坂道ダッシュもこなした。下半身をいじめ抜き、これまで調整の意味合いが強かったキャンプは、若手時代の鍛え上げるキャンプへと変わった。成果はいきなり表れた。日南キャンプでの紅白戦で、チーム実戦第1号を左中間スタンドに放り込んだ。どっしりした下半身から繰り出すスイングは力強く、弾丸ライナーの打球は全盛期をほうふつさせた。

 キャンプ終了後の実戦では四番に座る試合もあれば、三塁の守備に就く試合もあった。緒方監督も

「特に打撃面。経験のある打者として期待している」と話す。広島時代の05年に本塁打王、阪神移籍後の11年には打点王を獲得。阪神時代は19本塁打が最多だが、20発ならば軽くやってくれそうだと思わせる、近年にない追い込み方と充実の表情だ。
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