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戸田隆矢投手・多彩な役割の中で成長を続ける左腕

 



 低調な中継ぎ陣にあって、戸田隆矢の役割は日に日に大きくなっている。勝ちパターンでの継投こそ少ないものの、ロングリリーフからワンポイントまでこなせる左腕が任されるエリアは広い。長野で行われた6月23日の阪神戦では、延長12回に登板。打者2人を簡単に抑えて引き分けへのバトンをつないだ。何度も肩を作っては登板を待つ展開だったが、5時間を超える試合の最終盤でしびれる投球だった。「結果はよかったです」。地方球場のスピードガンとあって自身は控え目だったが、最速は149キロをマークしていた。

 チームは中継ぎ陣が開幕から軒並み不調だった。6月に入ってその余波を受けて配置転換された大瀬良に注目が集まりがちだが、戸田も今季初登板は先発だった。黒田の故障を受けて5月8日に先発。6回2失点で白星をつかんでいる。しかし、黒田が復帰すると、左腕が少ない中継ぎ事情も重なって、リリーフ経験もあった戸田に白羽の矢が立ちブルペン待機が決まった。悔しい思いもあるだろうが、戸田はあっけらかんと言う。

「任されたところでやるだけです。投げることが好きなので、投げられたらどこでもいいんです」

 大きな期待を受けていた春季キャンプでは調子が上がらず出遅れて二軍落ち。そのまま開幕も二軍だった。細身と指摘され続け、増量を試みたが、今の戸田には合わなかった。現在地を見つめてシンプルに考え、ファームで結果を残してはい上がってきた。今後は7回、8回、ワンポイントの勝ちパターンで投げる可能性もあれば、ローテーションの谷間で先発する機会もあるだろう。前途ある左腕は成長を続けていく。
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