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岸孝之投手・逆転Vのカギを握る右腕

 



 開幕直前に左ワキ腹を故障し、約2カ月間遅れてのシーズンとなった。前半戦を3位で終えたチームにとって、「出遅れた岸が、どれだけ確実に勝ちを積んでいけるか。それ次第で順位がだいぶ変わってくる」田邊監督は後半戦のキーマンとして、真っ先にエースの名前を挙げる。

 ここまで7試合に先発し、1勝3敗。数字だけを見れば、不本意そのものである。今季の岸は「スライダーの精度が向上したことで、カーブも横滑りするようになった」と、土肥投手コーチはじめ、多くの野球関係者、評論家などから指摘されてきた。実際、復帰後3試合ぐらいは、代名詞とも言われるカーブが精彩を欠き、失点を重ねた。しかし、その後、カーブを本来の縦に変化するように徐々に修正。試合勘含め、状態そのものも上がってきており、勝敗は別として、投球内容は、まさに“エース”の名に相応しいものを披露し続けている。中でも圧巻だったのが、7月10日の日本ハム戦、大谷投手とのエース対決だった。7回一死まで1人の走者も出さない完全投球。8回、近藤に二塁打を許し、犠打とスクイズで1点を失い、結果的に0対1で惜敗したが、被安打1の力投は勝った大谷をも上回る内容だった。

 ただ、一昨年、昨年と開幕投手を経験したことで、“エースの宿命”は熟知している。常に相手のエースとの投げ合いになるため、「先に点を取られた方が負け」。その厳しい条件の中で、味方の援護を信じ、いかに粘り強くしのいでいけるかを常に求められる。

 今後、何勝できるか。本人の出来も言うまでもないが、同時に打線がどれだけ援護射撃できるかも大きなポイントとなる。
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