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斎藤佑樹投手・ハンカチ王子が“代名詞”の夏に再起へ

 



 あれから9年の月日が経った。高校野球100年を迎える今年の夏。甲子園を沸かせた一人、斎藤佑樹はプロ入り5年目の27歳になった。さまざまな葛藤と闘いながら、今を生きている。2006年夏の甲子園決勝。早実のエースとして、駒大苫小牧と伝説の死闘を演じた。延長15回再試合の激闘を制して一躍、脚光を浴びた。スーパーヒーローになった残像と向き合い、必死にもがいている。

 今季は開幕先発ローテーション入りを果たしたが、2試合登板で未勝利のまま4月に二軍へ降格。プロ入り後初めて、中継ぎへ配置転換された。

「与えられたところでやるしかない」。多くを語らず、現実を受け入れた。12年の終盤に患った右肩関節唇損傷の故障からの完全復活に懸けた勝負のシーズン。チャンスをもらいながら、生かせず自問自答の日々だった。

 大谷、早大の後輩でもある有原ら若手が先発陣に台頭。厳しい競争から遅れを取った。二軍で与えられたポジションは抑え。短いイニングを任せることで、全力で投げることの意義を再認識させるための一時的な再生プランだった。6月に中継ぎで一軍に再昇格。ロングリリーフ要員で5試合に登板し、再度二軍へ戻るとまた道が開けた。先発への再転向だった。

 二軍でも着実に結果を残して8月以降、また一軍登板の機会が巡ってくる。栗山監督も「彼の季節」という、高校時代に特別な輝きを放った季節に再起へのレールを敷いた。安定したパフォーマンスを維持できれば、進出濃厚なポストシーズンの切り札になる可能性もある。「最初から全力でいって、いけるところまでですね」。斎藤佑が呼び覚ました全力投球の原点回帰で、現状打破へ勝負する。
8月8日の楽天戦に先発し、5回2失点の投球を見せた。
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