1998年センバツの甲子園大会の決勝戦。
久保康友は大阪・関大一のエースとして、横浜の
松坂大輔(
ソフトバンク)と投げ合った。結果は残念ながら準優勝に終わったが、その力投は鮮やかな印象を残した。あれから17年。社会人を経験し、3つの球団を渡り歩くプロ野球生活を送っている。8月6日には35歳になった。今やベテランと呼ばれる年齢に達した。それでも
DeNAの柱として夏真っ盛りの中で懸命に腕を振り続ける姿は頼もしい。
8月4日の
中日戦(ナゴヤドーム)。9安打を浴びながらも、6回2失点と粘りの投球で、チームトップの8勝目を挙げた。1回に早くも平田に適時打を浴びて1点を失う苦しい立ち上がりだった。それでも崩れないのがベテランのすごさだ。5回には内野ゴロで2点目を許したが、粘り強く打たせて取った。
「球場が広いからと雑にならず、最初から低め低め、丁寧に丁寧に、という投球を心がけていましたので、ヒットを打たれてもシングルで、ゲッツーも取れました。今日は体のコントロールもうまく使えました」と、意識した投球ができてひとまず安どしたという様子で話した。
しかし、今季は決して順風満帆と言えなかった。7月20日、同28日には2試合続けて早々にKOされていた。開幕投手を務め投手陣の軸として大きな期待をされているだけに失敗は繰り返せない。先発投手として最低限の役割を果たした。ただ中畑監督は「不満だよ。半分も力を出していない」と厳しく指摘した。
「野手が点を取ってくれたから勝てた。悪いところを修正しないと」と冷静に振り返った久保。後半戦の巻き返しにはこの男の活躍が欠かせない。