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中村晃外野手・高い順応力を誇る鷹のヒットマン

 



 下位打線に置いておくにはもったいない。だが、中村晃が七番を務めるからこそ、ソフトバンク打線の破壊力は増す。今季から背番号も「7」を背負う男は、ダイヤモンドの清掃員として塁上の走者を一掃する。

「打順にこだわりはありません。打席に入れば投手と打者。そこの勝負だと思ってます」

 三番・柳田から始まり、四番・内川、五番・李大浩、六番・松田と続く超強力打線は勝負を避けられるケースも多発する。例えば8月25日のロッテ戦(ヤフオクドーム)、同点の4回二死一、三塁から、イ・デウンは前の打席で同点の27号ソロを放った松田を敬遠気味に一塁へ歩かせた。だが、ロッテベンチの選択をあざ笑うかのように初球の150キロ直球を右翼線へ2点適時二塁打とし、その存在を示した。

 昨季は主に一番打者として143試合に出場し、打率.308。176安打で最多安打のタイトルを獲得した。優勝に貢献したトップバッターの「コンバート」を実現させたのは工藤監督の投手目線だった。

「李大浩や松田をホームにかえせる打者がいれば、なおさらイヤだろう」。打線は打撃コーチにほぼ、一任しているが、投手目線で「やられればイヤなこと」を追求し、打線にも、散りばめている。それが工藤ホークスの味となる。

 確かに昨季、.375を記録した出塁率は今季も高いレベルを維持するなど、一番打者としての資質は十分だ。だが、それと同様に4割近い得点圏打率も誇る。そのもう一つの魅力に着目し、思い切った打順の変化をつけた指揮官とそれに応えた中村晃。目立たない打順への適応が、ソフトバンク打線に厚みを持たせている。
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