本来の実力を考えれば、あまりにも寂しい成績だと言わざるを得ない。
阪神からFA移籍して2年目。エースとして期待された
久保康友にとって、不完全燃焼のシーズンだろう。21試合で8勝7敗、防御率4.12。2年連続でチームの勝ち頭と意地は見せても、昨年(28試合で12勝6敗、防御率3.33)から数字を落とし、投球回(178回1/3→122回1/3)も大きく下回った。
2月の宜野湾キャンプから絶好調だった。オープン戦は3試合で計11回を無失点。「毎年毎年、新しいスタイルをつくっている」と万全の調整を進めていた。昨年末の段階から開幕投手に指名していた
中畑清監督からは「こちらから言うことなし。彼の場合は放っておいていい」と絶賛。全幅の信頼とともに、3月27日の
巨人戦(東京ドーム)に送り出された。
自身2度目の大役について「調子はすごく良かった」と振り返った。4回3失点で敗戦投手。苦しいスタートだった。4月3日の
ヤクルト戦(横浜)も5回7失点でKO。今季初白星は5試合目、4月29日の
広島戦(マツダ広島)まで延び、12球団の開幕投手で最も遅い“初日”だった。
緩急自在の投球術、代名詞であるクイックモーションも対応されるシーンが多くなった。5月19日のヤクルト戦(神宮)で初の危険球退場。3回3失点で降板した8月25日の
中日戦(横浜)を最後に、出場選手登録を抹消されたままだ。それでも、5月4日のヤクルト戦(横浜)で1失点完投勝利。6月30日の中日戦(那覇)でも、気温30度を超える条件下で完封勝ちを収めている。頭脳明晰で多くを語らないタイプ。巻き返しの方法は計算中のはずだ。