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十亀剣投手・向上心の塊が期するさらなる飛躍

 



 昨年7月に発症した股関節痛から復活し、今季は開幕から先発ローテを守り抜き、チームで唯一、規定投球回に達した十亀剣。「股関節はいきなり痛みが再発すると言われているので……」と頭の片隅に常に不安を置きながらも、26試合中24試合に先発し、11勝7敗。目標の2ケタ勝利、貯金を初めて達成できたことには「半年以上何もしてなかった結果が出た」と去年の苦悩の日々を価値あるものへと変える、何よりの収穫となった。

 投球内容自体も明らかに進歩を見せた。自身開幕2試合は結果が出なかったが、3試合目から4連勝を飾るなど抜群の安定感を誇った。最大の要因はカーブの精度向上だ。「体をうまく使えるようになって、ブレーキが効くようになった」と十亀。

 土肥投手コーチも「カウントが悪いときにカーブでストライクが取れると、スライダー、シンカーが効いてくるというのが完全に今年のパターンだった。投手にとって最も大事な『自分の軸になる配球』を一つつかめたのは大きい」と語る。夏場、勝ち星が遠ざかったのも、「カーブが決まらずに苦しんだ」からだと両者。ただ、その時期を試行錯誤の末、乗り越え、後半戦で再び白星を積めたことは成長の証だろう。「本当の意味で先発ローテ投手になってくれた」と同コーチは惜しみなく賛辞を送った。

 今後は「競った試合で投げ勝てる投球」のためにも、一回り大きな体にすべく土台作りを目指す。

「現状維持では、むしろ衰退する。CSに出られなかったこの時期をムダにせず、『早めに始められる』と思って、また新しくいろんなことに挑戦して、新しいことを発見し、結果を残せるように大事に過ごしたい」

 向上心の塊である2012年ドラ1右腕は5年目のシーズンへ向け、すでに歩み出している。
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