オールスターという華やかな舞台が似合う男が、逆襲へ向けてギアを上げた。史上初の開幕3連勝と3試合連続2ケタ奪三振。上々の滑り出しを見せた今シーズンだったが、5月に入ってまさかの停滞。この月、自身の成績は1勝2敗に終わった。それでも、最後には
楽天のエースらしい圧巻の投球を見せた。
交流戦の開幕ゲームとなった5月31日の
阪神戦(Koboスタ宮城)。これまで初回に失点することが多かったが、この日は初回から3者連続三振を奪ってリズムに乗る。「自分でもびっくりするくらい調子が良かった」と振り返るとおり、6回一死まで阪神打線を無安打に抑えた。加えて味方打線が9点の大量援護。「今年、一度もしていなかったので」と、9回に志願してマウンドに上がり、3安打1失点で今季初完投勝利を挙げた。
「すごく背負っているものというか、責任感も強い。1人で投げ抜くということで、チームの投手陣にも打線にもカツを入れるという、そういう意味では素晴らしかった。気迫とボール自体も良かったね」エースのピッチングに、梨田監督も目を細めた。
好調な
ソフトバンク投手陣などパには好投手が多く、オールスター選出へは高いハードルが待っている。則本自身、球宴初出場となった14年には
ヤクルト・山田には本塁打を浴びた。オールスターでの借りは、同じ舞台で返すしかない。“魂のエース”は再戦を心待ちにしている。