ヤクルトの守備の要といえば、遊撃の
大引啓次だ。一歩目の動き出しが抜群で、ハンドリングも自由自在。だから、難しいバウンドも簡単にさばく。正確なスローイングも武器で、一塁までの送球は乱れることがほとんどない。
本人は自身の守備について「自分に与えられたことをやるだけで必死ですよ。自分ではもっとできると思っていますし」と謙遜するが、そのすごさを三木ヘッド兼内野守備走塁コーチはこう語る。
「(大引は)一つ先のプレーが読めているし、準備がしっかりできている。自分のところ以外の打球に対しての反応も素晴らしい。コミュニケーションの面もそう。投手だけじゃなくて、外野、二塁、三塁との確認作業──。外国人選手にも声を掛けに行ける」
一見、
広島・菊池らのようなド派手なプレーは少ないかもしれない。だが、堅実なプレーや、タイムをかけて一瞬の間を取ってあげることが投手の大きな助けとなる。同コーチは「彼は行動力があるし、その行動には必ず理由がある。内野は大引を中心に動いているし、何よりチームのことを考えてくれている」と信頼を寄せている。
今季、ヤクルトのチーム失策数は12球団最少の「27」(30日現在)。チーム防御率は12球団ワーストだが、守備は大引を筆頭に、二塁・山田、三塁・川端と堅い。「今年でセ・リーグも2年目。相手打者や自分のチームの投手の力量、球場の雰囲気も分かってきた。昨年より(打球の)予測もできるようになってきた」と背番号2。最下位からの浮上へ。チームリーダーが引っ張っていく。