センターラインを固めるために
原口文仁の成長度はポイントになる。「打てる捕手」の触れ込みで育成からはい上がってきたが、併用される岡崎、梅野らとの勝負はここからだ。
「チヤホヤされていても仕方がないです。責任を持ってゲームに出たいです」
強豪・帝京高で鍛えられたからか、明るく、礼儀正しく、周囲から好感が持たれる。このまま主力になればさらに人気選手になるはずだ。
2012年オフに腰痛などで育成選手になったが、今年4月27日に支配下選手として契約。左手尺骨骨折、右肩脱臼に見舞われても、大舞台に立つ夢を失うことはなかった。
当時二軍監督だった平田チーフコーチは「いつも1人になっても必死でバットを振っていた。絶対に上に上がってやるという気持ちだったと思う」と陰の努力を振り返った。
支配下登録された当日の
巨人戦(甲子園)でデビューを果たすと代打で初安打を放った。そこから初本塁打、初サヨナラ打と持ち前の打力を発揮してきた。
マスクをかぶっても3戦連続で完封勝利を導くなど、久しく不在の正捕手誕生を感じさせた。5月の月間MVPも受賞。交流戦が終了した時点で打率3割超え、6本塁打。オールスターにも監督推薦で出場を決めた。
シンデレラストーリーを演じる原口は「幸せです」としみじみ。続けて「新しい幸せを感じたい」と、さらなるレベルアップを肝に銘じている。