苦しみ続けた今季をムダにしない。9月15日のウエスタン・リーグ、
広島戦(由宇)。3年目の
上林誠知が、初回先頭打者初球本塁打で勝利に貢献し、同リーグ5連覇へのマジックを2に減らした。本人も「記憶にない」と振り返った初回初球弾。開幕前からの大きな期待とは裏腹に二軍生活が続いただけに、元来長距離砲ではないが、このアーチが今季二軍で放った12本目だった。
昨季はウエスタンで首位打者と盗塁王を獲得し、一軍でも出場15試合で打率.318をマークした。8月25日の
ロッテ戦(ヤフオクドーム)で放ったプロ1号は、逆転満塁弾。入団時から高評価を受けていた打撃技術に加えて、スター性を感じさせる姿に開花の予感を漂わせた。昨季日本一を達成した一軍では、五番を務めていた
李大浩がオフに退団。だが、球団は新外国人獲得に動かなかった。空いたレギュラー枠で上林をブレークさせることが、最大の狙いでもあったからだ。
その大きな期待が重圧になったのか、春季キャンプから思うようなアピールができず、開幕一軍にすら残れなかった。結果を出せなかったことが迷いを生み、昨季.334だった二軍での打率も今季は.247。
「打撃の状態が悪くなくても球を仕留め切れない状態が続いた。この秋、これというものを固めて、来年迷いなくスタートできるようにしたい」
秋は誰よりもバットを振り、来季こそ必ず大ブレークを果たしてみせる。