福井優也は本心を隠さなかった。
「あの輪の中にいられなかったのは悔しかった」
広島が25年ぶりのリーグ優勝を決めた9月10日の
巨人戦(東京ドーム)。福井は二軍にいた。後半戦に巻き返しを誓っていたが、8月31日の
DeNA戦(マツダ広島)の試合直前に首の筋膜炎で登板回避。思わぬアクシデントで二軍降格が決まった。歓喜の輪にいることができなかった。
悔しさの残るシーズンだった。昨季は自己最多の9勝をマーク。
前田健太が抜けた今季は、2ケタ勝利だけでなく、エース級の活躍を期待されていた。しかし、思うようにはいかなかった。オープン戦で好調も、開幕から7試合に登板し1勝2敗、防御率5.83。結果が出ず荒れた。2カ月にわたる二軍調整。
「忘れかけていたことを確認した。冷静じゃなくなって、自分では分からなかったところがあった。フォーム的なところでもう1度見直した」
7月28日の巨人戦(東京ドーム)で復帰すると菅野に投げ勝ち2勝目をマークした。
その後も粘投し、マジックを点灯させた試合でも勝った。後半戦のキーマンとして本領を発揮しかけていたところで、冒頭のアクシデントに見舞われた。一軍に復帰したのは優勝後の9月29日。CSに向けた先発ローテからは漏れていた。
「どこでもいい。投げたい」
なんとかロングリリーフ要員としてベンチ入り。意地は見せたが投手主将の潜在能力は、こんなところでとどまるものではない。