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楽天 藤田一也内野手・若い芽に技術と知識を

 



 派手さはなくても、プロらしい技術が光る。ベテランの域に入ってきた藤田は、欠かせないピースとして今季もチームを支え続けた。わずか4失策と安定感抜群の二塁守備に、リーグトップの得点圏打率.330と勝負強い打撃。ルーキー茂木を育成する意味でも、その存在は大きかった。120試合に出場して打率.265。数字以上に、その貢献度は大きい。

 ベストゲームに挙げたのは、自身初の劇打だった。6月12日の広島戦(Koboスタ宮城)。延長11回二死一、二塁、クローザーの中崎から中前へのサヨナラ打を放ち、最下位脱出に成功した。「サヨナラは大学以来。水をかけられたのは初めて」と声を弾ませ、シーズン後には「プロで初めてのサヨナラ打でしたからね」と笑顔で振り返った。

 育成の一翼も担った。梨田監督はシーズンを総括した際、「藤田には早い段階で『茂木を(ショート)守らすから』と話していた」と、ベテランの存在が茂木コンバート決断の一つの要素になったことを明かした。藤田は「大卒で一回り違う選手が入ってきた。考えると僕が横浜に入団したときの石井琢朗さんとかになる」。かつての先輩の姿もイメージし、惜しみなく技術と知識を伝えた。

 FA宣言も検討したが「もう一度このユニフォームで、この仲間と優勝争いをして、東北のファンの方々と日本シリーズを戦いたい」と残留を決断。若い芽が育ち始めたチームを、豊富な経験と熟練の技で縁の下から支えていく。
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