残酷なシーズンを終えた男の視線は、すでに来季を見据えている。
鳥谷敬がシーズンオフでも休むことなく体を鍛え続ける。そのスタイルは今までと少しも変わらない。
鳥谷は「もう1度すべてリセットし、しっかり練習して準備をしたい」と、さまざまな感情をあらわにすることはない。悔しさは胸に秘めている。
チーム若返りの波は、鳥谷にも大きく影響した。シーズン途中からショートに抜てきされた4年目の北條にポジションを奪われた形になった。
金本監督からは「鳥谷が変わらないとチームが変わらない」と言った。超変革のスローガンのもと日替わりオーダーの中、鳥谷の打順も変わりまくった。
7月24日の
広島戦(マツダ広島)で衝撃のスタメン落ちとなった。連続フルイニング出場が667で途切れて、遊撃は聖域ではなくなった。
シーズン終盤の9月3日の
DeNA戦(甲子園)では、2004年以来12年ぶりの三塁で先発出場。シーズン終了まで遊撃でのスタメンはなかった。
打率.236、7本塁打は不本意だった。かろうじて1752試合連続出場は継続しているが、レギュラーを確約されてはいない状況だ。
金本監督は「一からじゃないか」と鳥谷への再スタートを促した。厳しい立場に追い込まれた16シーズンだったが、まだまだ老け込むような歳ではないはずだ。鳥谷が2017年の逆襲にむけて静かに燃えている。