プロ10年目は、充実のシーズンとなった。角中勝也は打率.339で自身2度目の首位打者に輝き、178安打で最多安打のタイトルも獲得。2年連続でAクラス入りしたチームを、打線の柱として引っ張った。

　打率ランキングはシーズン半ばからトップを独走した。一時は角中だけが3割を超えるという状態になったこともあったほどで「9月くらいに決まったようなものだから」と素っ気ない。打率3割をマークしたのは初めて首位打者となった2012年に次いで2度目で「こういう成績を継続するのが一番」と向上心は尽きない。

　出塁率は柳田(ソフトバンク)に次ぐ2位。四球が多い証しで、裏を返せば安打を打つ機会が少ないとも言えるだけに、「最多安打は縁のないものかなと思った。最初で最後だと思うし、こっちに関してはうれしい」と表情を崩した。

　この2つの勲章より、最も大きかったのは1試合も欠かすことなく先発メンバーに名を連ねたことだった。

「今まで全試合出場はなかったし、自分の中では一番、価値がある。タイトルより、それが一番うれしい」と言う。「試合に出てなんぼなので」

　昨季は9月に死球で左手を骨折して戦線離脱を余儀なくされたこともあっただけに、言葉には実感がこもる。

　秋季キャンプは免除され、自らのペースで来季に向けて準備を整える。新たに選手会長にも就任する予定で、グラウンド内外での存在感は、一層高まるだろう。