“奪う“1年が始まる。
安部友裕はプロ9年目の2016年に初めて100試合以上に出場。1年間一軍で働き続けた。
ルナの故障の際など、スタメンとしても60試合に出場しポテンシャルを発揮。プロ8年間で2本塁打だった男が、115試合に出場し打率.282、6本塁打。プロで1本もなかった三塁打を4本放った。日本シリーズでも3試合でスタメン出場。打率.333をマークした。未完の大器が輝き始めた1年だった。
球団はルナとの17年の契約を結ばなかった。16年年内の段階では新外国人野手も獲得せず、三塁手は日本人での奪い合いとなりそうだ。安部の眼前にこれ以上ないチャンスが転がり込んできた形になった。
「“奪う“1年にする。とにかく覇気を出して。レギュラーを奪い取りたい」
堂林、西川、小窪らライバルとの争いを前に鼻息は荒い。首脳陣も秋季キャンプでは野間、堂林とともに安部を早出練習よりも前のスーパー早出練習のメンバーに加え、鍛え上げた。首脳陣は「あの3人だとやっぱり安部は頭ひとつ抜けている」と言う。
オフは筋肉をもう1度つけなおしてスイングスピードを上げていく。上半身を筋肉で覆った体から繰り出されるプレーは野性味あふれ、魅力も満点だ。
遊撃を守る田中、二塁の菊池、中堅の丸と同学年で、キクマル世代の秘密兵器。真価が問われる1年にプロ野球人生を懸けて挑む。