9月15日、26歳の台湾出身右腕・
郭俊麟は大仕事をやってのけた。3.5ゲーム差で迎えた2位・ソフトバンクとの直接対決初戦(メットライフ)、絶対に落としたくない大事な一戦で先発を任された。
初回から3点の援護点をもらうと変化球を多彩に織り交ぜながら、強力打線を打ち取っていき、5回0/3を6安打3失点にまとめ、3年ぶりの白星を飾った。「本当にこの3年間つらかった」と郭。ケガもあり、自分自身の投球を見失いかけたが、それでも乗り越えられたのは今季から二軍投手コーチ就任した同じ台湾籍の
許銘傑コーチとの出会いがあったからだ。投球の中での不安、疑問、時には言い争いまで、すべて母国語で直接対話できることで細かな“感覚”の部分まで追求できるようになった。
その大きな成果の1つが投球スタイルの変化だ。自身も認めるとおり、入団時は武器であるチェンジアップと直球頼りの投球だった。だが、変わった。「カーブでも、スライダーでも、カウントも取れるし、勝負球にも使えます」と胸を張れるほど変化球の質が向上し、さらに「どうやって自分の持ち球を使ったら、有効に効率よくアウトを取れるか」という考え方に変えられたことで、新境地に達した。
「何かを変えたい」と、今年から名前の読み方を「かく・しゅんりん」から「くぉ・じゅんりん」に変えた。
「『かく』は、
郭泰源先輩のイメージが強い。『くぉ』は僕だけ。自分の投球で結果を残していきたい」
完全復活を遂げ、新生・郭俊麟の誕生だ。
写真=BBM