攻守走すべてを駆使して勝負する
ツバメ党の歓声が、ため息に変わった。2月24日の
ヤクルトとのオープン戦(浦添)、8回無死一塁。途中出場のドラフト1位・
辰己涼介が外角直球を強振すると、打球は左翼フェンスを越えた。オープン戦でのルーキー1号となる2ランに「自分の持ち味である逆方向に打てたのは非常にうれしい」と声を弾ませた。
苦しむ日々が続いていた。久米島キャンプを視察した山埼武司氏は、自らの代名詞でもあった
楽天の背番号「7」の後継者となった辰己について「いいものは持っている。ただフルスイングの意味をはき違えている。今のままだと苦しいかな」と評した。初実戦となった14日の練習試合・
阪神戦(宜野座)は4打数無安打。16日の練習試合・
ロッテ戦(金武)は3打数ノーヒットに終わった。
この日の試合後、平石監督は悩める新人に「フルスイングは、何をフルで働かせるんだ」と問い掛けた。「バットのヘッドです」と辰己。体の開きが早くなる悪癖の修正に取り組むと、翌17日の練習試合・ロッテ戦(同)では左翼席へ一発。パンチ力に加え、修正能力も非凡なものを持っている。
ハイレベルな外野手争いに加わる勢いだ。
島内宏明と、昨年の新人王・
田中和基の定位置獲得は濃厚とも思われたが、
オコエ瑠偉に負けじと辰己も猛アピールを続けている。
50メートル5秒7の俊足と守備も魅力。「実績がない新人の僕は、開幕スタメンには一番遠い。でも、僕もレギュラーとして外野を引っ張りたい」と気合をみなぎらせた。
写真=BBM