一皮むけるチャンスでもある。加入6年目の小林誠司は、近年にないほどの逆境に立たされている。
昨季は1年目捕手の
大城卓三が台頭し、出場試合数は2017年の134から95に減少。オフには経験豊富な炭谷銀二朗が
西武からFAで加入した。さらに
阿部慎之助の捕手復帰も決まり、昨年末の契約更改で小林は「力不足で信頼を勝ち得ていない。すごく厳しくなるけど、挑戦していきたい。現実を受け止めて、勝負していきたい」と、正捕手争いへ並々ならぬ覚悟を語っていた。
原辰徳監督は捕手併用制には否定的で、あくまでもレギュラー捕手と、バックアップとを分けることを理想とする。阿部は3月中旬に左ふくらはぎの張りのために離脱したため、現実的に開幕スタメンの座を残り3人で争う状況だ。
3月上旬、原監督は巨人の応援組織「関西燦燦会」の総会で、昨秋から直々に打撃指導している小林について「200(2割)ぐらいの打率ならば、そのまま大阪に置いていこうか」と冗談めかしてハッパをかけた。だが同時に「守備に関しては世界一と言っていい。捕手としての能力は素晴らしい」と大きな期待も隠さなかった。
3月12日の
ソフトバンク戦(北九州)では2度の盗塁を阻止するなど3年連続盗塁阻止率リーグ1位の強肩は健在だ。やはり課題は長年、伸び悩む打撃の改善。チームの絶対的な正捕手となるためには、バットで結果を残すしかない。
写真=小山真司