打撃技術に関しては誰もが認めるところ。きっかけ一つで数字は上がってくるだろう
誰もが想定しなかったスロースタートだろう。セ・リーグ他球団との対戦が一巡した時点で、打率.193。開幕から15試合を消化しただけとはいえ、
宮崎敏郎の状態が心配された。
一昨年に打率.323で首位打者のタイトルを獲得し、昨年も打率.318をマーク。球界を代表する右打者として飛躍を遂げた。打って当然、必ず打ってくれる──。そんな期待を背負う男を気遣うように、
ラミレス監督は明るく振る舞った。「あれだけの技術を持っている打者だから、心配はしていない。そのうち打つでしょう」。
筒香嘉智、ロペス、ソトと並ぶ打線の大看板。負担が軽いポジションを打たせるなどのリフレッシュは施さず、中軸から動かさないことで静かに復調を待った。
4月11日の
阪神戦(甲子園)から2試合連続でマルチ安打。一気に乗るところが、そこから3試合連続無安打とまた沈黙してしまった。もともと真面目で責任感が強いタイプ。「一昨年も1年間、一軍にいなかった(128試合出場)ので。しっかりやれたのは昨年ぐらい。僕は練習するしかないですから」と謙虚に現実と向き合った。本拠地のナイターでは午前中には球場入り。マシンを相手に黙々と打ち込むのは珍しい光景ではなかった。
17日の
中日戦(ナゴヤドーム)では6回二死一、二塁から
山井大介のカーブをうまく拾い、中前へ技ありの適時打。得点圏15打席目で初安打だった。実績におごらず、同僚が口をそろえる練習の虫。お目覚めは時間の問題だ。
写真=川口洋邦