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広島・山口翔 一軍で知った素晴らしさと怖さを財産に/飛躍のシーズン

 

山口 翔


 一軍の素晴らしさと怖さを知った。2年目の山口翔にとって、今季はターニングポイントになりうる年となった。

 先発デビューは鮮烈だった。5月6日に初めて一軍に呼ばれ、中継ぎで3試合に好投。直球のキレのよさを見せつけ、5月30日のヤクルト戦(神宮)の先発に抜てきされた。

 強力打線を相手に7回二死までノーヒットノーラン。同じ熊本出身の同学年、村上に初安打となる左前打を許したが、7回1安打無失点で、プロ初勝利を挙げた。三塁側内野席、左翼席を埋めた広島ファンの大声援に包まれ「カープに来てよかった」と喜びを爆発させた。

 ただ、チームの勝ちに貢献する喜びを知った後は、怖さとの戦いとなった。先発デビューが完ぺきすぎたせいか、それを意識するあまり思うように腕を振れなくなった。6月22日に出場選手登録抹消。その後は二軍で好投して再昇格しても、やはり思うように体が動かず結果が出なかった。登板1試合で二軍に逆戻りとなるケースが2度続いた。ベンチで緒方監督や佐々岡投手コーチに気持ちの弱さを叱責(しっせき)される場面もあった。

 それでも山口にとって、今年登板した1試合1試合が財産になる。二軍にいては分からなかった「しびれる場面」を何度も経験できた。うまくいったこと、いかなかったことをしっかり消化して、今後に生かせばいい。女性ファンに大人気のスマイルを、再びヒーローインタビューで披露するためにも。

写真=BBM
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