今季はリリーフで存在感が光った。DeNAがCSを突破するための大切なピースだ
努力は
国吉佑樹を裏切らなかった。「僕にとってすごく大事な1年になる」と決意したプロ10年目。シーズン2位が確定したことで9月25日に出場選手登録を外れたが、自己最多の53試合に登板し、5勝3敗9ホールド、防御率4.80とシーズンを完走してみせた。
注目を浴びたのが4月6日の
巨人戦(横浜)。3点をリードした5回に登板し、二死から
ゲレーロへの5球目が衝撃的だった。「力を入れて投げた」と外角をめがけた直球。バックスクリーンの球速が「161」と表示された。「目標にしている数字ではあったので」と16キロ超えは日本人では5人目。
大谷翔平(当時
日本ハム)の165キロに次ぐ2位タイの快記録を打ち立てた。
1991年生まれは主将の
筒香嘉智と同じ。ともに2009年ドラフトでプロの門をたたいた。自身が育成ドラフト1位で、同級生は正真正銘の1位入団。ここまでの歩みはまったく異なるものだが、もがき苦しみながら現在地にたどり着いた。
49試合に登板した14年をピークに、ここ4年間は計46試合。昨年オフに取り組んだ肉体改造は過酷を極めた。炭水化物を一切やめ、オートミールに野菜、サラダチキンの食生活。ウエート・トレで筋肉量のみ3キロ増加し、106キロの体に自信を持った。
今季は試合展開に関わらず幅広い起用に応え、オープナーも1試合経験。「1日1日を大切にしないと」と慢心もない。98年以来の優勝は逃したが、CSへ向けて充電完了。まだまだ強く、たくましくなる。
写真=大賀章好