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中日・ビシエドが魅せた「四番の一振り」/2019年ベストゲーム

 

絶体絶命のピンチで同点弾を放ったビシエド(左)


 通常、ベストゲームとは勝ち試合を指す。ただ、7年連続のBクラスに終わったチームにとって今季最も大きかったのは、間違いなくこの一戦だろう。9月23日の広島戦(マツダ広島)。3位広島に1.5ゲーム差に迫って乗り込んだ敵地での直接対決。いわゆる「絶対に負けられない戦い」がそこにあった。

 1点を追う6回に、福田永将が今季4勝を献上していた大瀬良大地から同点適時打を放った。8回に2点を勝ち越されたが、その直後の9回、無死二塁で四番・ビシエドがフランスアから起死回生の2ランで同点に追いついた。

 しかし延長10回、R.マルティネス會澤翼にサヨナラ打を浴びて万事休す。逆転でのクライマックスシリーズ進出への道が事実上、断たれた。

「彼が今季、僕に対して投げた唯一の失投。その球を打つことができた」。同点弾のビシエドはそう胸を張った。この時点で1勝9敗だった敵地で、昨季まで3連覇した王者と対等に渡り合った大一番。「どれほど大事な試合なのかは分かっていたけど」と唇をかみつつ、「全力を尽くしたことは次につながる」と前を向いた。

 多くの選手には未知の経験だった。3年目の京田陽太は「守っていてガチガチでした」と言った。4年目で初めて規定打席に達した阿部寿樹も「自分が考えていた以上にしびれました」と明かした。8回途中まで3失点に抑えた大野雄大は戦前、「いい意味でソワソワする。久々の感覚」と表現した。

 来季につながる。つなげなければならない試合だった。

写真=BBM
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