今季は抜群の安定感を誇り、胴上げ投手にもなった増田
2018年、優勝の陰で一人、失意のどん底にいた。プロ6年目で41試合、防御率5.17はいずれもキャリアワーストに終わった
増田達至。シーズン途中にはケガ以外で初めて二軍降格も味わった。「何ひとつチームに貢献できなかった」。16年から抑えを任され、守護神として積み上げてきた信頼と自信が一気に崩れ去った。
「僕にポジションはない」
今季は再スタートの思いで挑んだ。咋年の秋季キャンプから着手した、体の使い方、バランスを含めたフォーム改善が早々から成果に現れ、開幕から実力を発揮。ほかの投手陣が精彩を欠いた中で、抜群の安定感を誇り、首脳陣の信頼を取り戻すと、守護神の座に返り咲いた。
シーズン通して大きな波を作ることなく投げ続けることができたが、その要因を本人は「自分の間合いで投げられた」ことだと振り返る。これまでは特に走者を出したときや疲労が溜まってきたときに投げ急ぎ、十分に球に力が乗らない状態で投げていたことが不調の原因となっていたが、今季は「しっかりと、軸足に体重を乗せて立ってから投げにいく」を普段の練習から徹底的に意識したことで、常に良い状態を維持できた。
最終的に65試合登板、防御率1.81、自己最多の30セーブの好成績でチームの優勝に大貢献。見事に昨年のリベンジを果たした。
9月24日、待ちに待ったビールかけ。昨季に続き、増田は選手会長として2度目の開始の音頭をとった。
「2連覇、獲ったぞ〜!!」
今年の優勝の美酒の味は、格別なものだった。
写真=BBM