スタンドいっぱいの大観衆を魅了する日まで、菅野智之は集中を切らさない。
新型コロナウイルスの蔓延に伴い、プロ野球の開幕が延期となった。3月20日の
DeNAとの開幕戦(東京ドーム)での先発マウンドに立つはずだった菅野は、「(延期は)残念ですけど、まだやりたいこと、やれることはあった。さらに良い状態で」と臨戦態勢を整えている。
腕から始動する新フォームで臨む今年は、春季キャンプから試行錯誤がありながらも順調に仕上げてきた。3月6日の
オリックス戦(京セラドーム大阪)では9安打を浴びるも6回1失点と粘りの投球を披露。「これだけヒットを打たれて6回を85球でまとめられたのはいいこと。細かいところはいっぱいありますけど、とりあえず今日はこういう締まった試合ができて良かった」とストライク先行で積極的に勝負し、ムダな球数を省く内容に手応えを感じていた。
13日の
楽天戦(東京ドーム)では3回を1安打無失点。延期により、新たな日程調整を進める
宮本和知投手チーフコーチも「(開幕投手は)菅野です。俺の中ではそうだし、そこにブレはない」とキッパリ。菅野が開幕投手を務めるのは3年連続6度目で、勝利すれば開幕戦4勝目。
別所毅彦、
斎藤雅樹の球団記録に並ぶ。エースは「12月の自主トレの時点で開幕を意識しながらやっていく必要がある」とオフの段階から強い覚悟で準備を進めてきた。姿の見えない“敵”の出現で、リーグ連覇へのスタートは先送りとなったが、エースはさらに精度を高めてその時を待つ。
写真=BBM