白星は挙げられなかったが、可能性を感じさせるには十分だった。直江大輔の“ブレーク”は来季以降にお預けとなった。
長野・松商学園高では2年生だった2017年夏に甲子園出場。ドラフト3位で昨季入団した184センチの本格派右腕だ。1年目は主に三軍で過ごし、2年目の今季は1月にエース・
菅野智之のハワイ自主トレで時間を共にして多くを学び、プロとして本格的なスタートを切る1年となった。
新型コロナウイルス感染拡大の影響でファームも開幕が遅れたが8月16日のイースタン・
ヤクルト戦(ジャイアンツ球場)で5回無失点と好投し、1年目に果たせなかった公式戦初勝利を挙げた。
すると、翌週の23日の
広島戦(マツダ広島)で一軍初登板初先発の大抜擢。4回1失点も、スタミナ面を考慮して交代を告げられ、「思い切っていけた。ファームでやってきた自分の姿は出せた」と必死の形相を見せた。そんな20歳を
原辰徳監督は「一番大事なもの、プロとしての魂を持っている」と絶賛した。
2度目は4回途中1失点で勝ち負けつかず。そして3度目の先発となった9月21日の広島戦(東京ドーム)は、勝利投手目前だった4点リードの5回に連続四死球を与えて降板。「最後の最後で自分の弱いところが出た。そこが一番悔しい」と唇をかんだ。交代を決断した原監督は「1つの勝利を挙げるのがどれだけ難しいか、彼もそれを思って、また精進して」と今後に期待した。
直江は翌日に出場選手登録を抹消され、その後、椎間板ヘルニアの手術を受けることを決断。今季、一軍初勝利は挙げられなかったが、3試合12イニングで防御率3.00。同期の
戸郷翔征に負けない大器の片りんを見せた。
写真=BBM