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磨きがかかったキレ ロッテ・石川歩/伝家の宝刀

 


 ロッテには球界を代表する“シンカー使い”が2人いる。「シンカー」と言えば、サイドスロー投手が「伝家の宝刀」として駆使するイメージが強い。

 守護神・益田直也はスリークオーターから鋭く落ちるウイニングショットを投げ込む。バッタバッタと空振りを奪っていく。その一方で、2019、20年に開幕投手を務めた石川歩は、オーソドックスなオーバースローからカウント球としても、ウイニングショットとしても、状況に応じて使い分けている。

 NPBでは上手投げでシンカーを武器とする投手は珍しいタイプと言えるが、石川の「シンカー歴」は意外にも長い。

「シンカーは中学生のころから投げていました」

 理由も明快だ。スライダー、カーブと並んで、今やおなじみの変化球ともいえるフォークの練習にも取り組んだが「フォークが投げられなかったので……」と打ち明ける。甲子園を目指していた富山・滑川高時代も「県大会から投げていましたね」と振り返る。

 今季は6月に右ヒジ関節クリーニング手術を行った。「違和感は前の年の終わりぐらいからあった。でも、大丈夫かなと思っていた」。全治3〜4カ月の見込みだったが、8月には二軍で実戦復帰し、9月から一軍へと戻ってきた。

 優勝を争ったオリックスとの直接対決となった10月13日には、9回二死から杉本裕太郎に2ランを浴びて完封こそ逃したが、「変化球がよかった」と2018年4月以来の完投勝利をマークした。33歳となっても「伝家の宝刀」のキレ味は磨きがかかるばかりだ。

写真=BBM
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