昨季には見られなかった自信が表情ににじむ。中田翔がオープン戦で40打数13安打の打率.325、3本塁打、8打点。チームにとって、昨季からの最も大きな「補強」と言えるかもしれない。
「去年は個人的にも不甲斐ないシーズンになってしまった。今年は見返してやろうという気持ちが強い。今は自信しかない」
開幕前に堂々と言い放った言葉には裏打ちがある。昨季は
日本ハムで同僚選手への暴力行為を犯して出場停止になり、巨人へ無償トレード。移籍後は出場34試合で打率.154、3本塁打、7打点と本来の姿には程遠く、最後まで苦しんだ。どん底に落ちた大砲は、心を入れ替えて今季のリベンジに懸けた。
1月は沖縄での合同自主トレを実施。弟子入りを志願してきた19歳のチームメートであり後輩である
秋広優人らとともに「食トレ」とウエート・トレーニングに徹底的に励み、昨年後半に激減してしまった体重をベストに近い110キロ前後まで、約20キロも戻した。代名詞のパワーとともに、自信も取り戻した。
オープン戦では当初の六番起用から開幕が近づくにつれて五番に座るようになり、シーズンでも中軸を託されることになる。「新たな中田翔を作り上げていかないと。一日でも早くファンに認めてもらえるように。本塁打以上に打点にこだわってきていた。そこは変わらない」。
パ・リーグ時代に3度獲得した打点王に返り咲く野望も胸に、今年は本領を発揮する。
写真=BBM