絶対的なレギュラーではないにもかかわらず、昨季の岡大海は起死回生のアーチを3発も放った。ファンはこれを「ヒロミナイト」と呼んだ。とにかく、チームが苦しい展開に追い込まれていても、この男が終盤に打席に入ると、何かが起こりそうな予感がするのだ。
そんな雰囲気は今季も漂わせている。3月25日の
楽天との開幕戦(楽天生命パーク)で六番・中堅でスタメン出場すると、その後も打順は上位から下位までこなしている。
4月23日の
オリックス戦では京セラドームの5階席まで運ぶ一発で、驚異的なパワーを見せつけた。5月12日の楽天戦(楽天生命パーク)では2回に
岸孝之から先制2ランを左中間へ運んだ。
同戦は開幕から好投を続けながらも、白星に恵まれなかった
美馬学が先発だった。「美馬さんにはずっといい投球をしてもらっていたので、なんとか勝ちを届けられてよかった」。そんな言葉には人柄もにじみ出る。
強肩と俊足を武器に外野ならば、どこでも守ることができる。一塁手としても安定している。途中出場のバイプレーヤーとしても貴重だ。代打、代走、守備固め、どんな役割も担える。明大時代は「投打の二刀流」としても活躍。チームにとって、ジョーカー的な存在なのだ。
「自分は1試合1試合アピールしていかないといけない立場。一つ一つ大切にやっていきたい」
開幕当初はコンディション不良で不在だった荻野、
角中勝也も交流戦に入り、一軍合流。チーム状況も変わってきたが、ここからの上位浮上へ、どんな展開も打開できる岡は必要不可欠な戦力だ。
写真=BBM