7月に入り、主砲のライアン・マクブルームが目を覚ました。6月は1本塁打、6打点、打率.244と湿っていた。しかし、月が変わって人が変わった。7月1日からの対
巨人3連戦(マツダ
広島)で大暴れ。第1戦では残り三塁打でサイクル安打となる3安打3打点。「(サイクル安打の)意識はあった。だが、自分にとって三塁打は最も難しい。ノースピードね」と笑って振り返る。
翌日の第2戦では0対0の9回無死一塁から右中間へサヨナラ弾となる9号2ラン。試合を決める劇的アーチで自身6度目のお立ち台に上がった。第一声は日本語で「アツイ(暑い)!」。文字どおり熱い一打でファンを沸かせた。第3戦でも7回二死一、二塁から右翼線へ2点適時二塁打を放つなどして、7月早くも2本塁打、7打点。わずか3試合で6月23試合の本塁打、打点記録を上回った。
来日1年目の助っ人は暑さを苦にしない。日本の夏に対しては「(アメリカと)異質な暑さもあるが、フロリダなど湿度が高いところにもいた。そういった経験が生きている」と、抵抗はない。さまざまな地域を渡り歩いてきた苦労人の経験値が、海を渡った日本球界でも生かされた。
シーズンも折り返し、2位以下はだんご状態。少しでも連勝が重なれば一気に上位へ食い込める。だが一方で、わずかな隙を見せれば、転落もあっという間。夏バテなんてしていられない。“夏男”ともなり得る存在の主砲がチームの軸となり、ヤマ場を迎えるペナントレースを引っ張っていく。
写真=BBM