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オリックス・増井浩俊 拳さえ握らず「悔いの残らないようにやりたい」/あの悔しさを胸に

 

6月9日のヤクルト戦。オリックス増井浩俊が淡々とベンチに戻る


 惜しくも偉業達成を逃した。増井浩俊が6月9日のヤクルトとの交流戦(京セラドーム)に先発登板し、NPB史上初の『12球団勝利&12球団セーブ&12球団ホールド』に挑んだ。

 すでに12球団セーブ&12球団ホールドは達成しており、ヤクルトから白星を挙げればNPB史上初の快挙だっただけに「なかなかチャンスはない。悔いの残らないようにやりたい」と今季初登板初先発の舞台に強く意気込んでいた。

 プロ通算550試合登板で41勝、163セーブ、158ホールドを記録する右腕の、最後の1球が身に染みた。5回二死二、三塁。1対2と1点リードを許した状況で、カウント2-2から三番・山田哲人に、渾身の151キロのストレートを投じ、空振り三振を奪った。

 捕手の伏見寅威はミットを掲げて喜んだが、増井は淡々と一塁側ベンチに戻った。胸中、穏やかではないはずの89球目―─。増井は拳さえ握らなかった。

 ヤクルト戦は交流戦しかなく、満を持して年に1度のチャンスだった。「今はもう相手がどことかにかかわらず、とにかく良い結果を出して、次につなげないといけない状況。プロに入ってから6月まで一軍で登板がないっていうのはなかった。すごく長くて、不安な時間でした」と話すなど、必死に居場所をつかみたいマウンドだった。中嶋監督からは「自分で考えて投げろというふうに言われました」と愛のムチも受けた。

 NPB史上初の快挙は持ち越され、その後にファームで鍛錬を積み、9月16日の日本ハム戦(京セラドーム)で今季2度目の先発。5回途中2失点も、果敢にマウンドで戦う背番号17の姿は、チームの活力となる。

写真=BBM
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