週刊ベースボールONLINE

オーロラビジョン

西武・西川愛也 続く無安打に募る危機感 理想のスイングを探った秋/秋の収穫

 

まずはヒットを打って率を上げることを目指す西川


 秋季キャンプで、西川愛也は誰よりも遅くまでバットを振った。全体練習が終わると、個別練習でその日決められたメニューをきっちりこなし、その後、室内練習場へと向かう。ティースタンドにボールを置き、肩の開きを改善するべくひたすら右腕一本でのスイングを繰り返し、右手の感覚を養う。それが終わると、今度は両手で一球一球丁寧にスイングし、撮っていた映像をチェック。スローモーションで細部の細部まで確認し、打撃コーチらとともに理想のスイングを探った。

 そして、そこからはマシンへと移動して徹底的に打ち込みを行い、つかんだいい感覚とフォームを体に染み込ませる。それが毎日の日課だった。すべては「率を上げるため」だ。「これまでは、強く打とうと思って反動を使って打っていた分、目線も含め、ズレが大きくなって、確率がだいぶ悪かった」。その改善に惜しみなく時間を費やした。その姿には、並々ならぬ覚悟が込められている。

 プロ3年目の2020年に一軍デビューを果たしたが、今季を含め3シーズンで放った安打は20年に記録したプロ初安打のみ。今季も30打席のチャンスをもらいながらも、「H」ランプを灯すことはできなかった。

 雪辱に燃える今秋の精進は、徐々に光明をもたらしつつある。これまでは、「強い打球を遠くに飛ばす」ことを目指してきたが、まずは「ヒットを打って率を上げることに突出していかないと、この先、生きていけない」。来季の方向性が明確になったことが何よりも大きな収穫だ。「もう来年しかないので」。募る危機感とともに来季はすでに始まっている。

写真=BBM
オーロラビジョン

オーロラビジョン

週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング