まさかの状況で、輝きを放つ。昨季盗塁王の
高部瑛斗の出遅れ、リードオフマン・
荻野貴司の離脱。外野のレギュラー2人を欠く中、藤原恭大が救世主に躍り出た。4月は、打率3割3分以上でリーグ1位をキープする時期もあった。「143試合出ることが目標。あまり数字にこだわらず、1打席1打席、自分の形で打てるように」。表情には充実感が漂う。
九番・中堅で開幕戦を迎え、荻野が離脱した4月9日からは一番に抜てき。「まずは安打1本と四球1個」の心構えで安打を量産。4割近い出塁率を続け、簡単にはアウトにならない粘りも目立つ。16日の
オリックス戦(ZOZOマリン)では
宮城大弥から9球粘って適時打を放った。
思い切った決断が好スタートを生んだ。オープン戦の最終戦から開幕前のわずかな時間で、フォームを修正。足の使い方とバットの出方を変えた。ぶっつけ本番の形でシーズンに入ったが、「フォームがまとまって、自分がやりたいようなスイングができた」と功を奏した。
オフはメジャーに挑戦した
吉田正尚(レッドソックス)の自主トレに参加。「日本一の左打者」から打撃論を学んだ。試合前のフリー打撃で最初にノーステップでスイングをすることも助言の一つ。無駄な力を抜く意識が身につくといい、「吉田正尚さんに一つのバロメーターになると言われた。継続してやりたい」。
吉井監督は「チームの顔になる選手になってほしい。その実力はある」とさらなる成長に期待する。まだまだこんなものではない。誰もがそう信じている。
写真=高原由佳