DeNAファンにとっては、まさしく“うれし過ぎる誤算”だったはずだ。オフの時点で、元サイ・ヤング賞投手がベイスターズのユニフォームを着て投げている光景を、一体誰が想像できただろうか。メジャー・リーグで5年連続2ケタ勝利をマークするなど通算83勝を挙げた超大物新外国人、トレバー・バウアーの電撃加入が、この春最大の話題となった。
4月16日のイースタン・
西武戦(横須賀)で迎えた来日初登板では、二軍戦では珍しい2680人が詰めかけ、球団公式YouTubeチャンネルで行われた生配信は異例の最大同時接続数7万7322を記録した。大きな注目を集めたマウンドで、4回4安打無失点、無四球6奪三振。多彩な変化球を操り、ピンチではギアを上げ、最速156キロをマークした直球6球で一度もバットにかすらせることなく2者連続3球三振を奪うなど、いきなり高い実力の一端を見せた。
オフの時点では、昨季ともにチームトップの11勝を挙げた
今永昇太、
大貫晋一の左右の両輪を軸に、来日2年目の
ガゼルマン、経験豊富な
石田健大、トミー・ジョン手術から復帰を果たした
東克樹、
平良拳太郎らによる先発陣が構想に描かれていた。そこへ、2020年にレッズで
ダルビッシュ有(当時カブス、現パドレス)を上回り、メジャー投手の最高栄誉とされるサイ・ヤング賞を受賞した大物右腕のバウアーが加われば、1998年以来となるリーグ優勝、日本一を目指すチームにとってこれ以上ない追い風となる。
一軍初登板初先発となった5月3日の広島戦(横浜)では7回7安打9奪三振1失点で来日初勝利。実力はもちろん、投球やトレーニング法など球界屈指の理論派としても知られる右腕。その影響力に注目が集まる。
写真=BBM