スペシャリストがチームの窮地を救ってみせた。小田裕也が4月19日の
楽天戦(京セラドーム)でビッグプレーを披露し、歓喜のハイタッチを呼び込んだ。
1点リードの9回二死一、二塁の場面。代走で7回に出場し、そのまま守備固めとして右翼の位置に就いていた小田の存在がキラリと光った。打席の楽天・
山崎剛が放った打球が一、二塁間を抜けていくと、右翼の背番号50は猛チャージして勢いよく打球を捕球し、素早く本塁へバックホーム。綺麗なワンバウンドスローとなり、二塁走者の
西川遥輝を刺してゲームセット。勝利を決めた。
「よかったです。素直にうれしい。日ごろから準備、練習してきたことが、いつもどおりに出せた瞬間でした」
渋みを増した33歳が笑顔を見せた。
徹底した準備が、その一瞬に生きる。ここ数年、途中出場の機会が目立つが「気持ちはスタメンのつもりです。ベンチで試合を見ているときも『自分がこの場面なら……』と考えてみています」と気持ちを込める。ベンチスタートの際、初回から中盤までは「まずは状況を見て」と、試合の流れを読むことを欠かさない。
試合が中盤から後半に向かうにつれ「出番がある可能性が高くなるので、後ろ(ベンチ裏)で体をほぐしたり、ジャンプして瞬発力を高めたりしていますね」と出場の機会を“逆算”してアップを進めていく。
「チームに若い選手が増えた。でも、自分もまだまだ負けられないです」
自然と言葉に熱が帯びる。
杉本裕太郎が故障離脱した5月3日の
ソフトバンク戦(PayPayドーム)で八番・左翼で先発出場して3安打猛打賞。“職人”として生きる男も、これまた良い。
写真=BBM