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オリックス・紅林弘太郎 熱を帯びる言葉「まだシーズンは続くので──」/下位打線で光る

 


 かつて三番打者も務めた男が、今季は下位打線で輝く。紅林弘太郎が“意外性”のある打撃でチームを支えている。

 5月24日の楽天戦(ほっと神戸)では、1点を追う9回一死一塁で、楽天の守護神・松井裕樹から劇的サヨナラ2ランを放ってみせた。人生初のサヨナラ弾に満面の笑みでダイヤモンドを一周すると、歓喜のウォーターシャワーを浴びた。

 左翼席上段に突き刺さるアーチは「気持ち良かったです。打った瞬間行ったと思いました」と好感触だった。

 この日は“リズム”を変えていた。今季、打席に入る際の登場曲は『ジャンボリミッキー!』だったが、人気アニメ『Dr.スランプ アラレちゃん』のテーマ曲『ワイワイワールド』に変更。テンポの良いメロディーに乗り、白球をかっ飛ばした。本塁に生還後、一塁側ベンチ前では、中嶋聡監督から愛情たっぷりの“ヘッドロック”を受けた。

 2021年、22年は、今季からレッドソックスに移籍した吉田正尚が負傷離脱している際、“代役”で三番に座ったこともある21歳。だが、高卒4年目となる今季は、オープン戦で状態が上がらず、開幕二軍スタートとなった。

「頑張るしかないな……と思って、舞洲で練習してきました。ここに居てはダメだな、早く一軍に上がりたいな、という気持ちでした」

 未来の和製大砲候補が、グッと歯を食いしばった春先だった。

「まだシーズンは続くので、良いところ(チャンス)で打てるバッターになりたいです」

 その言葉は熱を帯びる。

写真=BBM
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