球界にとっては「18」だとしても、
中日とってのエースナンバーは「20」。現在、その番号を着けているのは、
楽天からトレード加入した涌井秀章。山あり、谷あり、自覚を持ちながらシーズンを過ごしている。
「期待していただいているのが分かります。裏切らないように、応えられるように頑張ります」
西武、
ロッテ、楽天を渡り歩き、4球団目のユニフォームに袖を通す右腕に与えられた「20」は輝かしい。
過去、
杉下茂や
権藤博、
星野仙一、
小松辰雄らが背負った。2015年のドラフト1位・
野村亮介が17年まで背負っていたが、それ以降は5年間にわたり空き番号となっていた。ほこりをかぶった栄光の番号を36歳の涌井がまとう。
最速タイ152キロを投げるからコンディションは心技体ともそろう。4月25日の
広島戦(マツダ広島)で移籍後初勝利挙げた。その後も先発ローテーションを守って黙々と投げ続けている。
落とし穴は5月31日の広島戦(マツダ広島)だった。初回に5失点。自身13年ぶりの大量失点。開幕から2カ月。移籍を振り返り、こんな言葉を残している。
「負けたのは全部、自分の責任としてしっかり受け止めていかないと。じゃないと、何のために(ドラゴンズに)来たか分からない」
スピードは出ている。試合はつくっている。援護の有無で変わる勝ち負けの数は必要以上に考えても仕方がない。チームのために、白星をつかめるように。
6月21日で37歳となった。20番を背負った涌井は衰えをはねのけ、暑さに負けず、新しいゲームのマウンドに立つ。6月25日の
ヤクルト戦(バンテリン)は6回を1失点。112球の粘りの投球で本拠地初勝利となる3勝目を挙げた。
写真=BBM