8月生まれのエースが状態を上げてきた。山本由伸が6月30日の
日本ハム戦(エスコンF)に先発し、8回112球7安打1失点の粘投で、今季7勝目をマーク。今春のWBCに出場した影響などもあって、調整を行うのが難しく、春先はやや苦しんでいたが“エース”が貫禄の投球を示し始めた。
前半戦終了時点で、13試合に先発し、9勝3敗、防御率1.74と、直近2年連続で沢村賞を受賞した右腕が、今季も圧巻の成績を残している。今季は高卒7年目のシーズン。プロ入り1年目に先発登板を果たしたが、2年目は救援で一軍登板を重ね、3年目に救援から先発に“再転向”。以降、先発ローテを守り続け、得た経験が生きている。
「シーズンは長いですからね。どこかで無理をしてしまうと、体が張ってしまうこともある。ケガで離脱してしまうことが、一番もったいないと思うんです。先発でローテーションに入っていると、6月くらいに一度(体が)張ってしまうことがある。これも経験なので、何年か先発を経験させてもらって、ようやくつかんだものがあります」
今季、目指すはリーグ3連覇&2年連続での日本一。昨季は日本シリーズで負傷し、歓喜の瞬間も唇を噛み締めた。
「全部を計算して、一番最後に笑っていられるように。(チームから)いなくなることが一番、痛いと思うので、そうなることは避けたいと思っています」
悔しさを胸に、今季こそ――。8月に25歳となる男に寄られる期待は、シーズン、その後のポストシーズンでの躍動だ。秋まで駆け抜ける1年としてみせる。
写真=BBM