素朴な表情からは考えられないようなボールが左腕から繰り出される。3年目の福島章太だ。
7月31日現在、ファームで25試合に登板し、0勝2敗、防御率2.57。リリーフ左腕不足のチームにとって、後半戦は大きなチャンスだ。
2020年秋のドラフト4位で倉敷工高から入団した。140キロ台後半の直球が売りのサウスポーは、しかし1年目に左肩を故障し、オフには育成契約となった。
故障が癒えた昨シーズンは二軍で主に先発として経験を積んだ。87回1/3の投球回はチーム2位。「投げていて野手に助けられてばかり。自分が抑えた試合は少ないです。そういう試合を来季は増やしたい」と口にした。
8月13日のウエスタン・
オリックス戦(ほっと神戸)では自己最速を3キロ更新する153キロをマーク。オフには支配下に復帰し、今季にかける思いは人一倍強い。
「投げていて、しっかり指先の力が伝わるようになったというのは実感しています」と言う。きっかけは
山井大介二軍投手コーチからのアドバイスだ。
「登板翌日のキャッチボールを一番大切にしなさいと教えてもらいました」。先発して100球も投げれば、どこかしらに張りが出る。それをしっかりとほぐしつつ、元に戻すのが目的だ。
「ちゃんとやると疲れが抜けやすいことがよく分かりました」。そうやって一球一球、丁寧に動きや感触を確かめながら投げるうちに直球の威力も精度が増した。
大食いでもチームメートの注目を密かに集める20歳。CoCo壱番屋では800グラムのカレーを5分で完食し、先輩たちを驚かせた。次は一軍のマウンドで野球ファンにビッグサプライズを与える。
写真=BBM